ソガイ

批評と創作を行う永久機関

宵野雪夏

「小説の筋」論争からみた、芥川と谷崎

最近、『文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録ほか』(講談社文芸文庫)という本が出た。言うまでもなく、芥川龍之介と谷崎潤一郎との間に起きた「小説の筋」論争に関連する文章を編纂した本である。私はそれなりの時間をかけて、この「小説の筋」論争について…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 後編

4 光と影――期待と不安―― もっともこれは映像の世界においては常套手段といえるものであろうが、『デレマス』も数多の映像作品の例にもれず、光と影の対比がところどころで用いられている。場面として明るいシーンでは全体的に明るく、シリアスなシーンでは…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 中編

2 彼女たちが中央に立つとき 注意してみれば意外なほど明確でありながら、しかし意識していないとそうそう気づけそうもないのであるが、第一話において、人物が画面の中央に立つ場面は、実はそれほど多くない。 例外的に、シンデレラガールズのメンバーが『…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 前編

『アイドルマスター シンデレラガールズ』 いちファンによる独断と偏見に基づいた映像論的なもの これは、アニメーションはおろか、映画における表現方法の歴史もろくに学んでいない、正真正銘の門外漢による考察である。 世の中にはいま、論じやすいアニメ…

『志賀直哉随筆集』書評

『志賀直哉随筆集』書評 言わずと知れた「小説の神様」志賀直哉。しかし、志賀直哉の小説は一見した印象ほど、わかりやすいものではない。私小説だったり、心境小説だったり、そう評されることも多い志賀直哉は、反自然主義から出発している。たとえば晩年の…

『茄子の輝き』書評

滝口悠生『茄子の輝き』書評 初めての八重洲ブックセンターで浮かれていなければ、もしかしたらこの本を私は手に取っていなかったかもしれない。 というのも、芥川賞を受賞した『死んでいない者』の良さが、あまりよくわからなかった。大きな事件も極端に現…

朱を入れること

つい最近まで、掃除というものが苦手だった。足の踏み場がない、という母親の非難は自覚しながら、同時に、この混沌のなかにもたしかな秩序というものがある。積み重なった本の塔から一冊を取り出そうとすると、必ずとなりの塔を崩し、あらら、と慌てて押さ…

日本酒とノスタルジー

近頃、日本酒というものに興味を持ちはじめた。 これまでは、チェーン店の居酒屋で出てくるような、銘柄もわからない、安い日本酒しかほとんど飲んだこともなかった。それでも、私の舌にはそれなりに合っていたのだが、ある日の飲みの席で、地元が新潟である…

夢見る少女たちの観客であること~『アイドルマスター ミリオンライブ』考察~

二十代のうちは、夢を見てはいけないんです。そう言われたことがある。 ならば、それより小さいときに見ておくものなのか。いや、しょせん、子供の夢にすぎない、と言われるのがおちだろう。ならば、もっと大きくなってから? 年甲斐もなくそんな夢見て。そ…